Webサイト「こころの詩人 八木重吉の魅力」の目的
日常の生活や自然を、簡易な言葉で表現しながら、真摯な求道心を秘めている重吉の詩は、不思議に、傷ついた人や苦悩に沈む人の心に触れ、共感させ、希望さえ与えてしまう力をもっています。キーツやキリストを愛した重吉の詩は、美しいものを求める西欧精神、罪を深く意識する信仰の求道心、それに哀しみの奥に希望を見い出す日本人の感性を併せ持っています。
「八木重吉の詩を愛好する会」は、昭和60年(1985)年、柏で生まれました。その年、すぐ詩碑建立委員会を組織して、11月に詩碑「原っぱ」を序幕し、その後も文学散歩、詩の鑑賞会、講演会等を企画し、会報も発行しながら活動してきました。八木重吉の資料を後世に残すため、みなさんと情報交換をしながら、活動を継続して行きたいと思っています。
- ★八木重吉の詩を愛好する会
- ・事務局:270-1406 千葉県白井市中205 小林正継
- ・サイト管理者 小林正継
- 連絡・お問い合わせは下記まで
- メール:八木重吉関係専用 kmat27aiko@gmail.com
■会報「とかす力」30号発行しました。
■ 茶の花忌、会報発行、書籍等の 案内
・長い間更新が出来なくてすみませんでした。
やっと更新する事が出来ました。
・事務局の天利武人氏が2023年7月6日、癌のために死去されまし
た。77歳(7月11日で78歳)
・会報「とかす力」30号(2023.12.24)が発行されました。
2023年の茶の花忌の報告が載っています。
・今年の茶の花忌(八木重吉命日の10月26日)の催しは、
実施され訳70名の参加がありました。
・2021年に『八木重吉英文日記』(翻訳)(2,000円)、
2022年に『八木重吉を慕いて』(愛好会の歴史)(1,000円)
が発行され残部が有ります。送料はサービスしますので欲しい方
は申し込んでください。
八木重吉の詩の紹介(第5回)
ふるさとの川 ふるさとの川よ ふるさとの川よ よい音をたててながれてゐるだらう 『貧しき信徒』
「ふるさとの川」の解説
昭和51年に開かれた没後50年祭をきっかけに、地元の相原保善会が中心になって浄財を集め、翌52年5月26日、経営する相原幼稚園(東京都町田市相原町4445―3)の敷地内に除幕した詩碑である。この場所は、八木重吉が小学校4年生まで通った大戸学校(相原尋常小学校大戸分校)の跡地である。
ここにうたわれている川は、もちろん、重吉生家の前を流れる境川である。重吉の短い人生の後半は、ふるさとを離れての生活であったが、農村共同体という、地域の人間関係が密接な中で育まれた経験は、重吉の心の中に色濃く影響を与えていた。クリスチャンになった重吉であっても、神仏混交で汎神論的な宗教観の世界を否定的に捉えなかった。日本人一般が故郷に感じる郷愁の思いに加えて、世俗に染まらぬ無垢の夢のような世界として、重吉はふるさとを肯定的に捉え続けた。
この詩が生み出される過程で、この3行の後ろに
(母上の白い足をひたすこともあるだろう)
と加えられている原稿があったようで、その1行が加わると、子をあたたかく包んでくれる母親への思慕が表面化する。母親をうたった詩も多くあるので、重吉のふるさとへの思いの中には母性への傾倒も含まれていた。英文学を学び、西欧を経由して入ってきたキリスト教の熱心な信仰をもちながらも、重吉は決して日本的感性を失うことは無かった。単純素朴な表現でありながら、見事に、日本のふるさとの美しい姿を映しだしてくれている。