各地の研究活動
(1)八木重吉生家の記念会「茶の花忌」について
重吉の命日は、10月26日で、重吉の大好きな秋であり、その季節には、重吉生家の墓地を囲むお茶の花が美しく咲いている。大きな色鮮やかな花に比べると、白い花びらに黄色の花粉をつけた小さな花で、地味ではあるが、よく見ると美しい。田舎の農家の庭の垣根によく使われた木であり、ふるさとの花である。地味だが美しいのは、重吉の姿と重なる。重吉の命日にふさわしい良い名前である。
昭和59年に、生家の八木藤雄氏が、集めた資料を展示公開するために、土蔵を改造し八木重吉記念館としてオープンしたのを機に、それまで不定期に持たれていた集まりを、重吉命日の10月26日に毎年もつこととし、「茶の花忌」と名付け、定着している。毎年全国の愛好家100名ぐらいが集まってくるが、2017年(平成29年)1月に八木藤雄氏が逝去され、その年から娘さんの佐藤ひろ子氏が後を継いで茶の花忌を開催している。
(2)柏の「八木重吉の詩を愛好する会」について
昭和60年2月、重吉が1年余り教鞭をとった東葛飾中学(現高校)の卒業生3人と地域の愛好家1人が、一同に会して、「八木重吉の詩を愛好する会」の結成を決め、毎月例会を持ちながら、研究調査活動と柏に詩碑建立を目指すことを目的に活動を始め、その年の10月に詩碑「原っぱ」を建立、その後も詩の鑑賞会やゆかりの地訪問、会報の発行をしながら、現在まで活動を続けている。
初期に比べると縮小した活動になっているが、魂の詩人と言われる八木重吉の存在を後世に残すため、努力を続けている。
(3)茅ケ崎の「八木重吉を語る会」
茅ケ崎文化人クラブから生まれた「八木重吉を語る会」が、平成17年に詩碑「蟲」を建立し、その後も不定期に活動をもっている。
(4)御影
詩碑「夕焼」を建立した神戸市御影は教え子たちが存命中は、訪ねて行けば案内してくれたが、すべて亡くなられた後は目立った活動は無くなっていた。しかし2020年(令和2年)、御影に移住して来た河村さんが重吉の熱心な愛好者で、重吉の詩を知ってもらおうと、自ら良く調べて冊子を発行し、2021年になって、さらに新資料も発見して2冊目の冊子を発行した。
(5)その他
その他、詩碑「幼い日」がある西宮、詩碑「ひびいてゆこう」と「花」がある愛知県西尾市にも、かつては愛好者がいたが、現在は目立った活動は無い。また町田市の小山田桜台にもうひとつの「素朴な琴」の詩碑がある事は、あまり知られていなかったが、昭和59年5月に、住宅・都市整備公団によって建立されていた事が分かって、2019年(令和元年)に愛好会で訪れた。
詩集や詩の文学的研究については、毎年本が出るほど、いろいろな人々が個人的に研究しているが、まとまった研究会・活動組織のようなものは無いと思われる。
茨城の日立周辺に住む愛好者(武田さん、小澤さん、藤山さんら)が2005年から茨城キリスト教学園で「シンポジウム」を毎年1回、7年間実施し、鑑賞や講演などをしてきたが、メンバーの高齢化により、2013年の秋の開催を最後に終了となった。